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津地方裁判所 昭和56年(わ)65号 判決

本籍・住居

四日市市大字松本二一番地の一

運命・印鑑鑑定人・酒・タバコ小売業

加藤すゞ

大正元年九月三日生

所得税法違反被告事件

検察官

伊東正 公判出席

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居地において、如意会の名称で運命・印鑑鑑定を、また四日市市松本二一番九号一三において、加藤藤五郎商店の名称で酒・タバコ小売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を不正に免れようと企て、右運命鑑定などによる収入を架空名義や他人名義で債券を取得するなどの方法により所得を秘匿し、もって不正行為をなし

第一  昭和五二年分の実際の所得金額が五、一〇一万〇、九二五円でありこれに対する所得税額が二、三八三万七、九〇〇円であったにもかかわらず、昭和五三年三月一三日、四日市市西浦二丁目二番八号所在の所轄四日市税務署において、同税務署長に対し、右加藤藤五郎名義で営む前記酒・タバコ小売業における所得金額が一九三万二、九三九円で、これに対する所得税額が一五万三、〇〇〇円である旨の所得税確定申告書を提出したのみで、右運命・印鑑鑑定などによる所得を申告期限内に全く申告せず、もって前記の不正行為により申告額との差額二、三六八万四、九〇〇円の所得税を免れ

第二  昭和五三年分の実際の所得金額が六、九三二万一、九四四円でありこれに対する所得税額が三、四六一万六、九〇〇円であったにもかかわらず、昭和五四年三月一二日、前記四日市税務署において、同税務署長に対し、右加藤藤五郎名義で営む前記酒・タバコ小売業における所得金額が一七六万一、八九六円で、これに対する所得税額が一二万九、六〇〇円である旨の所得税確定申告書を提出したのみで、右運命・印鑑鑑定などによる所得を申告期限内に全く申告せず、もって前記の不正行為により申告税額との差額三、四四八万七、三〇〇円の所得税を免れ

第三  昭和五四年分の実際の所得金額が五、三九〇万二、八二七円でありこれに対する所得税額が二、五一五万八、〇〇〇円であったにもかかわらず、昭和五五年三月一一日、前記四日市税務署において、同税務署長に対し、右加藤藤五郎名義で営む前記酒・タバコ小売業における所得金額が二〇二万七、四九五円で、これに対する所得税額が一四万七、四〇〇円である旨の所得税確定申告書を提出したのみで、右運命・印鑑鑑定などによる所得を申告期限内に全く申告せず、もって前記の不正行為により申告税額との差額二、五〇一万〇、六〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告人の検察官に対する各供述調書

一  被告人作成の各上申書

一  大蔵事務官作成の各臨検てん末書及び各査察官調査書

一  吉野常雄、川勝厚、吉川正、高橋貴也、平野妙子、宮田杢平中村治郎、本間郁雄、倉田勝雄、天野陸大、平野正、後藤恒美、伊藤陽、柴田英夫、佐藤庄蔵、小島勝、水谷洋征、加藤清文、河村伸之、太田勝作成の各上申書

一  加藤藤五郎、林昌子、菱田照子、国分俊一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  林昌子の検察官に対する供述調書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検書証(甲)二号)

一  四日市税務署長作成の証明書二通(同五号及び九号)

一  押収してあるお礼お供ノート三冊(昭和五六年押第四九号の一ないし三)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検書証(甲)三号)

一  四日市税務署長作成の証明書二通(同六号、一〇号)

一  押収してあるお礼お供ノート二冊(前同押号の四、五)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検書証(甲)四号)

一  四日市税務署長作成の証明書二通(同七号、一一号)

一  押収してあるお礼お供ノート三冊(前同押号の五ないし七)

(法令の適用)

所得税法二三八条一項、二項、一二〇条一項三号、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条、一八条一項、二五条一項

(裁判官 平野清)

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